2006年録音のシューベルトと新ウィーン楽派の作品集に続くジャン=ギアン・ケラス(vc)とアレクサンドル・タロー(p)の顔合わせによる室内楽集。今回はドビュッシーとプーランクの作品集で、録音は2008年。収録曲はドビュッシーのチェロソナタ、レントより遅く(ロケ編)、スケルツォ、インテルメッツォ、プーランクのチェロソナタ、バガデル、セレナード(ジャンドロン編)、フランス組曲。ドビュッシーで始まり、プーランクを経て再びドビュッシーでアルバムを終わるという構成。ドビュッシーのレントより遅くはピアノ曲の編曲。また、プーランクのバガデルはヴァイオリン曲からの編曲で、セレナードは歌曲「歌とピアノ」の編曲。元来からチェロのための作品というのは意外と少なく、このようなアルバムでは編曲ものが多くなる。
ケラスとタローの相性はたいへん良好なようで、音楽的方向性が近いと感じられ、そのデュオは清廉で健康な透明感に満ちている。ここに収録された曲たちも、非常に明るく演奏されているといのが特徴だ。また明るいだけではなく、特有の自然でありながらウィットを感じる間合いがあるのが良い。そのため軽い陰りのようなものが曲想を深めている。特にこのようなジャンルではその感性が曲を面白く伝える武器になる。収録曲の中でその旋律が圧倒的に親しまれている「レントより遅く」ではチェロの楽器特性を生かした節回しが堪能できる。ドビュッシーのチェロソナタにおいても、もっと暗い色合いがあってもいいとも思うが、明朗な響きで魅力十分。
プーランクのチェロソナタはフランスの当該ジャンルの中でも重要な作品だと思うが、ここでも両者の感性は存分に活きていて、非常に見通しの明るい音色が繰り広げられる。またフランス組曲の細やかなパッセージの処理も鮮やかで聴き応えのあるところだ。
末尾のドビュッシーのインテルメッツォは珍しい曲で、なかなか聴けない作品。ドビュッシーの中ではいい曲というわけではないけれど、このようなアルバムを通して知れるのはリスナーにもいい機会となる。