最近では女優スカーレット・ヨハンソンのデニュー作も手がけた、ディープな音の探求者、TVOTRの最新作。
TVOTRはこれまで、いわゆる『玄人向け』であるというのが一般的な評価であった。
そのディープと言うわざるとえない音世界は、いわゆる「ポップ」と呼べるものではなかったし、
実際、大衆にアピールできるような「サビ」部分を持った曲も少なかった。
現に、前作『Return To Cookie Mountain』も、僕自身、年間TOP3に迷わず投入しながらも、友人には一切勧める事のできない作品だと位置づけた。
だが、そのような物語も前作までの話であって、僕は過去形で書いた。
この新作では、これまで、ともすれば「頭でっかち」と受け取られかねなかったTVOTRの音楽に、
音楽要素(知識)に留まらない、身体で受け取り感じられるファンクネスが強化されている。
結果、他のバンドには作りえない、彼らの最高傑作と呼べるアルバムが産み落とされた。
一言で言って、これは素晴らしいアルバムだ。
玄人寄りのうんちくを持ち出すまでもなく、皆がこの音に身体を揺らし、
その歌声に耳を寄り添わせる事ができる。
そうだ、アルバム全体が歌心に満ちている事も大きな変化だ!
サビと呼べる構造を持った曲も増え、メロディがわかりやすくなった事も、
この音楽が大衆性を持つに至る上で重要な役割を担っている。
ヘッドホンで聴いてもいいだろう、きっと、彼らの音へのこだわりにたまげるだろう。
部屋にかけてもいいだろう、音量を大きめにして、身体で感じてみるのもいいだろう。
どちらにしても、このアルバムの名盤たるところを実感できるはずだ。
ただし、評価を4つ星に留めた理由もある。
音の面で言えば、全く文句の出ない仕上がりなのだが、
聴く時々によって、評価が「素晴らしい!!!」と「こんなもんだっけ」の間を上下する。
その強い輝きをこちらで受け止められる時とそうでない時とが、時系列上で分かれてしまうようなのだ。
前作も、そういう危険性を孕んでいたように思うが・・・
果たして、どうだろう。僕が心配し過ぎているのだろうか。