リッチー・ホウティンというと、プラスチックマンのあのダークでディープ、異常なまでのぶっとい低音、超内面世界というイメージがある。コアなテクノマニアでなければ理解しがたいような。しかしこの作品は、そんなリッチーはちょっとかんべんという人にも受け入れられる作品だと思う。ホワイト。意外だがそんな感覚。ジャケットもこれまでのリッチーの作品とは違い明るい。ミニマルではある。ミニマルというものに抵抗感がある人も多い。「同じループがひたすら続いて、退屈です」と。(そもそもミニマルはDJのツールなので、単品で聞いてもあまり意味が無い)しかしこの作品は違う。刻々と変化するミニマル。しかもチャンネルが切り替わるような変化ではない。自然に、全体のトーンを崩すことなく、水流のように。いちおうDJMIXCDと位置づけられてはいるが、もはやDJMIXとも呼べない。まさに編集。一枚の写真から小さなシミを抜き取っていくようなサンプリング。この技法はテクノミュージックの制作においては普通だが、これをDJMIXとして取り入れた作品はかつてない。心地がいい。低音は相変わらず太いが、あたたかい。毛布のように聞く人を包む。とにかく最近のMIXCDの中で、このままずっとこの音の世界にいたいと思わせるものは少ない。これと田中フミヤの『DJ MIX 1/2 MIX.SOUND SPACE』ぐらいじゃないか。あと、自宅で地味な作業をする人(クリエイター、ネットサーファー、作家など)にはBGMとして最適。受験生にもヘッドフォンで聞いて集中力UP!な一品。言葉が無い音楽だから気がそれないんです。