1927年イギリスのデボン州の自然豊かな田園地帯。5月のある日、川
辺のほら穴の中で、母かわうそに子どもが生まれ、「タルカ」(「小さな水
の旅人」の意)と名付けられる。母親のおかげで、日に日に、大きくなっ
ていくタルカだったが、ある日、母親が、ハンターに撃たれ、突如として
孤独の身になってしまう。タルカは、その日を機に、生まれ育った場所
を離れ、冒険の旅に出ることにするが…。
ヘンリー・ウィリアムソンの動物文学の傑作を基に、ドキュメンタリーTV
畑出身のデヴィッド・コーベンが映画化した作品。ドキュメンタリー出身
だけあり、自然の様々な表情(時にやさしく、時に厳しく)と動物たちの生
態を捉えた映像に、通常のドラマを織り込んだ作りになっている。ナレー
ションをアカデミー賞受賞俳優、ピーター・ユスティノフが担当。動物映
画の秀作だ。
もちろん、撮りためた多くの自然や動物の映像フッテージを絶妙に編集
して、物語を構成しているという功績も大きいのだが、何より、主人公(?)
のタルカが、非常に愛くるしく撮られており、この、いたいけな小さな生
命に感情移入しやすくなっている。観ている者は、母かわうそ同様、い
つしか、タルカの保護者のような視点になってしまう。常に、死と隣り合
わせの自然の中で、彼が必死に生き抜く姿は胸をうつし、そして、彼の
生命を脅かすのが、厳しい自然以上に、人間の手(それもスポーツという
名の下の狩猟)によるものということには、怒りがこみ上げ、胸が痛くなる
はずだ。
本DVDは、英Granada Internationalのマスターを使用した正規盤。画角
は、4:3レターボックス(ヨーロピアン・ビスタ?)だが、色乗りもよく、大きな
キズなども見当たらないきれいな画質だ。音声も明瞭。日本劇場公開時
は、手の込んだ日本語版(独自のナレーションやME)が作られたようだが、
本DVDは、日本語字幕のみ収録。子ども向けに、日本語吹替なども収録
されていれば尚良かったが、それは高望みだろう。とにかく、500円という
超廉価で、この作品が手に入れられるのであれば、買わない手はない。