傑作揃いの9巻ですが何と言っても第33話「怪獣使いと少年」です。 差別問題を真正面から取り上げ、環境問題をも取り込んだ問題作にして、紛れもない傑作です。脚本は上原正三氏。ウルトラセブンの「ノンマルトの使者」を手掛けた金城哲夫氏と同じ沖縄出身です。 因みに劇中に流れる音楽は「ノンマルトのテーマ」。 またアングルにこだわった映像も必見です。しかし、子供向けの30分番組でありながら、この内容の濃さはどうだ。逃げ場なし、救いも無し(パン屋の娘と少年の「ありがとう」は別)、少年への感情移入も追いつきません。子供の頃、観終わった後、呆然とした記憶があるが、今観てもやはり呆然としてしまう。長らく、怪獣ムルチは少年の不安や孤独、怒りを象徴とする幻影で、メイツ星人の死により、実体化したのだと勝手に解釈していたが(実際はメイツ星人により封印されていた)、そうであっても違いはないような気がしてしまう。ムルチの、少年の叫びのような鳴き声が今も頭から離れません。 そんな訳で、エースに登場する二代目ムルチは黙殺、メビウスの「怪獣使い〜」の続編も観ていません。 少年は大人になった今でも、穴を掘り続けているはずだ、と思います。メイツ星人の、否、少年の宇宙船は見つかったのだろうか。