これまでのDV被害者側の視点では見えてこない加害者側の視点が読める一書。
だからといって、筆者も述べているとおり、これは決してDV加害者擁護では無い。加害者の世界観を偏見なく(そのまま書いてあるので)、見ることができ、そこから解決策をどう探るかの一つの材料になると思う。
筆者の良心的な姿勢は一貫している、と思う。というのは、筆者自身にも偏見があるところは(筆者は男性なので、男性として共感するところがある、など)をきちんと書いた上で書き綴っており、あくまでも当事者の声をそのまま活字にしているのがほとんどである。
また、読者に偏見を持たせないような、筆者自身の感情とか、教条的(暴力については、こうあるべき、こう考えるべき等)な態度は極力避けている。そのことによって、ありのままの加害者の世界観を伝えようとしていると感じる。
貴重だというのは、加害者側の生の声を見聞きすることが実際にあまり無いからだ。
加害者の(もちろん、自分勝手な論理かもしれないが)DV,暴力に対する、あるいは夫婦関係、男女観、あるいは男女間の力関係の価値観、世界観がこんなにも異なっていることを、こう表に活字として発表できたことはやはり非常に貴重であると思う。問題解決は、あくまでも、現実を徹底的に把握していなければ始まらないからだ。
また、余談だが、20名近くの加害者が協力してきたということも驚きである。これは筆者が男性であること、そして話しても大丈夫だ、と相手に信頼感をもたせる人間としての誠実さ、真摯さ、器などがあった故ではないだろうか。