Dir en greyの8thアルバム「Dum Spiro Spero」は、明らかにバンドの転機を表す異色作であった。 前作「Uroboros」でもかなりカオティックな世界観を提示してきてはいたが、前作までは、混沌とした雰囲気の中でも確かにキャッチーな部分が垣間見える、誤解を恐れずに言えば「Pop」な作風が根付いていた。 あくまで基本はボーカルのメロディであり、カオティックなアレンジや曲展開はその次。キャッチーなサビの引き出て役に徹する場面も多かった。 つまり、前作までの作品の主眼はあくまで「メロディ」だったのである。 ところが今作はどうか。 キャッチーさは完全に消滅したとは言えないものの格段に減少し、今までとは段違いに複雑な曲展開の元、妖しく、まさに「呪術」的な空気が息づき、曲を形づくっている。 2ndアルバムに収録されていた10分超の大作「Macabre〜」に衝撃を受け、ここまでDirを追ってきた私だが、遂にDIR EN GREYは極めた。 メジャーデビュー当初から顔を覗かせていた「Progressive 」で「Doom」な作風を極め、上達したテクニックと共にメジャーシーンに叩きつけた大傑作、それがこの「Dum Spiro Spero」なのである。 これまでの「Pop」な作風が好き(私もあれはあれで好きだが)で、あまりプログレやドゥームに触れた経験が無いV-Rockファンには、今作は受け入れ難い作品かもしれない。 だが私としては、この「Dum Spiro Spero」はOpethなど海外のプログレあるいはドゥームの重鎮達にも全く引けをとらない名盤であることを確信する。 むしろDIR EN GREYは、この作品によって名実ともにその地位を、重鎮レベルにまで高めたと言えるだろう!