富士谷要一(ふじたに よういち)の心の葛藤と決断を中心に話が展開する「三部 SSスペシャル’99」。要一、知季(ともき)、飛沫(しぶき)、三人の熾烈な戦いを描いて実にスリリング、手に汗握った「四部 コンクリート・ドラゴン」。あまりの面白さに読みさしにすることができず、おしまいまで一気に読まされてしまいました。
上記、三人の少年たちのメイン・キャラ以外にも、彼らのコーチを務める麻木夏陽子(あさき かよこ)、要一の父・敬介(けいすけ)、飛沫の恋人・恭子(きょうこ)、日水連の前原(まえばら)会長など、脇役陣のキャラがとても個性的で、生き生きと描き出されているんですね。だから、より一層、メイン・キャラの三人の少年たちがくっきりと、輝いて見えるんだろうなあ。
しのぎを削る戦いの後の、コミカルなエンディングもよかった。あの小道具、あの人物が、ここに来てこんな形で活躍するとは・・・・・・。思わず、くすりとさせられましたねー。
下巻の巻末解説は、作家の佐藤多佳子。色んなところで頷かされる解説文で、「全く、そのとおり!」って共感しましたよ。
とにかく、一旦読み出して、気づけば夢中になって頁をめくっていた小説。来月開催する北京オリンピックの前に読めたってのも、グッド・ダイビングじゃない、グッド・タイミングだったな。うん、これはむちゃくちゃ面白くて、胸がじんと熱くなる作品です。
「何か、ほんとに面白い小説、ないかなあ」と探している方に、自信をもって本作品をおすすめしたい!