「世の中、死んだほうがいい人間が多いのでは。」と、不良や、犯罪者を見て漠然と思っていた主人公”夜神月”は、”顔と名前”をキーにその者を葬れる”デスノート”を手にします。
興味本位から身近な”悪人”でその効果を試した彼は、戸惑いながらも、その力により”新世界の神”=”キラ”になることを誓い、次々と犯罪者を裁き続け、世界各国の警察を敵に回しつつ、やがて世界的名探偵”L”と対峙するに至ります。
作品としては、あまり登場人物に感情移入できるようには、つくられていません。
主人公”夜神月”と死神”リューク”との間には、相依存するような信頼関係は全くありませんし、”夜神月”は、”デスノート”と”リューク”を、効率良くただ利用すること、逆に”リューク”は、それを承知で人間界が、デスノートで掻き回されることをただ「人間って、面白!!」と暇つぶしをしているだけというものです。
”夜神月”が、”悪人”を”デスノート”で裁き、”善人”だけの理想郷を築こうと望む”思想的枢軸”も曖昧で稚拙ですらあり、最後までそのことについて掘り下げられることはありません。(これは、説明不足ということではなく、少年誌連載ということから、危険を回避した意図的なものと言えるでしょう。)
この作品の一番の魅力は、、”夜神月”の”善意の犯罪”と、その所在をつきとめようとする鬼才探偵”L”達との、相手の裏の裏をかくような、緻密で周到な推理小説的な攻防プロットだと思います。”デスノート”の、様々な使用条件により、その攻防は複雑に絡み合い、見る者を釘付けにして離しません。
小畑健さんの絵も、非常に洗練されており”絵”だけ見ているだけでも唸ってしまう程のクオリティです。
登場人物に”感情移入”することは、難しい作品ですが、”絵””脚本”はとてもスリリングで、質の良い作品だと思います。