この本の購入を考えている人の大半は音圧を上げる事に苦心されている方々かと思われる。
そして実際本のタイトルにもそうある。
それに関してこの本は、
結局市販の音源並に音圧を上げるにはマキシマイザーを使ってください、
と結論づけている。
主題であるはずのこの音圧のセクションは、
本書の中で10%程しか触れられていない。
マキシマイザーを使うまでにミキシングで施す手法はいくつかある。
例えばマスタリングを見越してミキシング段階で各トラックをローカットする、
各トラックでのコンプのかけ方、
などだ。
勿論そういった手法を使った上でマキシマイザーを併用すれば音圧はかなり上がるが、
同時にダイナミクスも失われてしまう。
これに賛否両論あるのは事実だ。
本書ではそういった
「音楽の高揚を犠牲にした音圧」を否定している。
これは間違いではない。
その上で一般的なミキシングを施した後にマキシマイザーを掛けると丁度よい音圧が得られると綴っているのだ。
ならば本書の存在意義はあるのだろうか?
音圧を上げる事を謳っておいて結局マキシマイザーを使用してくださいでは、
本のタイトルに惹かれて購入した読者は肩透かしを喰らうのではないだろうか?
マキシマイザーを掛ける前にいかに良いミキシングを施すか。
そう、その理由から7割をミキシングについて綴っているのが本書の実である。
ただしそれはもはやミキシングの本であって、
音圧アップなどと標榜するのは如何なものかと疑問を抱く。
以上の点から鑑みて、
本書のサブタイトルには悪意すら感じる。
音圧と謳えば耳目を集めるのは確実だからである。
タイトルを内容通りに練っていればもう少し評価できただろう。
やはり通販で本を購入するには冒険が必要だ。
著者の拙い文章力もかなり気になったが、それは割愛。