『DTB』について放映当時よく耳にしたのは、スタッフ構成の近い『COWBOY BEBOP』『WOLF'S RAIN』に比べてインパクトが少ないということ。また、前番組がストーリー上異常なまでの盛り上がりを見せた『コードギアス』であったことも影響してか「盛り上がりに欠ける」という話もよく聴いた。
しかし、『DTB』は本当にインパクトに欠ける作品なのだろうか?各エピソードは十二分に面白いが、確かに地味だと言えない事もない。が、この作品が派手に盛り上がらない理由の一つに、そもそもこのアニメがオトナの視聴者に向けて作られているという事実がある。オトナな演出というものは落ち着きやしっとりさを獲得する代わりに、しばしば「勢い」や「情」を失ってしまう。加えて、『DTB』のオトナ志向ぶりは半端じゃない。岡村監督はこの作品を「TVアニメじゃない、劇場作品だ」といって製作しているらしいが、特にそれが顕著に表れているのが、質感一つ見ても非常にリアルな「背景」だ。駅名に実際の名前が使用されていたり、広告等も架空の社名を使わず、実在する社名や製品名を使用している。
また『DTB』の舞台は東京だが、背景の家のパラボラアンテナ一つとってみても、山手線の駅、TV塔などの位置関係からアンテナが向くべき方角を正しく割り出し、正確に描いている程の徹底振りだという。言われなければとても気が付かないだろう。作画が崩れない、殺陣がよくできているなんて当たり前。その退廃的な世界観といい、こういった飽くなき映像美の追求、写実感覚溢れるリアリティの追求はまさしくノワールタッチであり、『DTB』がいかにオトナ向けを志向しているかの証左だろう。 派手なストーリー勝負ではなく、絵を含めたあらゆる意味で破綻のない作品作りを目指した、まさしくオトナの鑑賞に耐え得る作品である。
元々HD制作であった本作だが、今回のBD版の登場によって、ようやく映像の細部にまで織り込まれた製作者の意図が全て堪能出来るようになった。作り込まれた背景も、これでこそ真価を発揮するというもの。これから楽しまれる方々には、『DTB』本来の面白さを損ねないよう、是非ともBD版での鑑賞をオススメしたい。