髭(HiGE)のメジャー5枚目のアルバム。
二年ぶりらしいセルフプロデュース(前作前々作はアイゴンこと曾田茂一をプロデューサーに迎えて作られている)
を前面に押し出したアルバムとなった。
前作が切れ味とポップさに長けたアルバムであったのに対し、珍盤『Electric』を挟んで、
今作は「夢」をテーマとしたサイケでドリーミーな(これは昨今の欧米インディシーンのネオサイケブームの影響か)
コンセプトをある程度有したアルバムとなった。前作で特に顕著だったグランジ的な要素は著しく限定され、
その代わりにベルベットアンダーグラウンド(M1とかモロ)からゆらゆら帝国まで連なる類の
サイケデリックな要素があちこちに付加され、「夢」というコンセプトを表す。
しかしその夢は逃避的で、酷く諦観に満ちていて、おまけに楽曲は初期の自由なサイケ感なんかも標榜しながら、
これまでの人を喰ったような余裕が無い、やたら素直で弱々しく切ない感じを強調し、
意地悪な見方をすれば「迷走」しちゃってるような雰囲気も漂う。
前作である程度完成してしまった「髭」としてのキャラを避けることに躍起になっているような感じもする。
しかしその分、前々作以前のシニカルに振る舞う髭とも、皮肉を自身も含む全方向に向ける前作とも異なる、
これまでで最も弱々でネクラな髭のキャラクターを眺めることが出来る。
また楽曲の粒も揃っており、アルバム一枚としての流れも前作と同様スムーズである。
前作、今作と来て、なんだか髭というキャラクターが行き詰まってしまいつつあるような感じはする。
だからこそ、これから彼等がどんな路線に進むのかは悩ましいとともに、非常に興味深いところでもある。
スマパン的などっしりギターロックM2や、『Electric』からのフィードバックを活かしたカオスなM8なんかが好き。