本書はD&Dにおける善とはなにかをゲーム的に扱えるようにしたサプリメントであり、同じくD&Dにおける悪を扱った『不浄なる暗黒の書』と対になるべき一冊である。
が、読んでの率直な感想は「力こそ正義なり!」という冒頭の一言である。反応セーヴによって魔法の武器によるダメージさえ半減させるスターマントル、光り輝く鎧を纏って光源いらずの上にACが+5(実質的にはもっと上昇)などの呪文はまさにPLを引きつけてやまない善の魅力に満ちあふれている。その他聖なる腹心などの追加ルールや装備品なども世のDM達にうめき声を上げさせるクオリティだと言える。
また、魔王達のライバルであるセレスチャル・パラゴン達の姿は善なる存在の凶悪さをこれでもかと言わんばかりにPRしている。(彼らの畏怖すべき姿は発売元のHJのD&D公式サイトのプレビューで見ることができるが、当に魔王以上の存在感である)しかも、所有欲を捨てる《清貧の誓い》や生きているクリーチャーへの暴力を放棄する《平和の誓い》などの特技や敵に慈悲をかけ、改心を試みるような善の生き方は敵を倒して経験値やアイテムを入手して強くなるというこれまでのD&Dのプレイスタイルを変えかねない代物である。
しかし、その反面、力の背後にある善を貫く生き方という新しいエッセンスを導入する契機にもなるだろう。また、改心したマインドフレイヤーといった善人のサンプル、天界の住人達に関するまとまった記述は、使用者のD&D世界をより豊かにしてくれるだろう。良くも悪くも『不浄なる暗黒の書』と同じく、プレイに変化をもたらす調味料であり使いすぎに注意すべき代物なのは確かだ。パワーを求めるプレイヤーには文句なく星5つでお勧め、そしてDMには採用は慎重かつ計画的にという言葉を沿えて星4つでお勧めさせていただく。