待望の第2巻であるが絶版である。絶版はいいとして、この本は素晴らしい。第2巻は氏のこだわりによって全体に絵柄が統一されている。一般に簡潔な画風というものはややもすると淡白になり過ぎるきらいがあるが、氏の出自がそれを絶妙のバランスに保っている。つまり杉野昭夫氏を始めとするあんなぷるの流れの上に安彦良和氏の軽妙なタッチを巧く消化しており、独特の味わいを残す絵になっている。氏の絵を前にすると、どのようなクリティックも無力と化す。それは言葉で説明できるものではなく、体感するものであるからである。軽いタッチで描かれた洗練された絵柄から、それを目にした者は氏のドローイングにおける軽やかな身体感覚を追体験することになる。そこから類推される氏の感情は透きとおったものであり、職人の極致をみるおもいがして心地よい。本の意匠も大変すっきりとしており、判型も絵を生かすもので美本であるといえる。表紙画を鉛筆で描くというアニメーターらしい発想が面白い。現在は休筆中であるが、伴侶を得、公私共に充実している氏の活躍は目覚しいものがある。ゲーム、3DCG映画と多方面に展開していた仕事が宮崎駿との新作でどのように活かされるのかが楽しみである。本作が氏のライフワークとなることを祈って今後の活躍に期待したい。