ムーアは、テクノロジーのライフサイクルとその各段階でターゲットとすべき顧客を、標準偏差を用いて明確に定義している。新たなテクノロジーが最初「イノベーター」(テクノロジーオタク)に受け入れられ、やがて他者に先んじて投資しようとする「アーリー・アドプター」(別名ビジョナリー)によって支持され、そして実利主義者であり、成功の鍵を握る「アーリーマジョリティー」や保守的な「レイト・マジョリティー」に採用されていくという過程は、きわめてわかりやすい。
本書が問題とするのは、このライフサイクルの図において、各層の間に存在する溝(キャズム)である。つまり、ハイテク製品のマーケティングでは、自分たちがライフサイクルのどこに位置するのかを正確に認識し、首尾よく溝を越えていくことが成否を分けるというのだ。アップルやパーム・パイロット、シリコングラフィックスなどの事例を適宜紹介し、ユニークな比喩を用いるのでわかった気にさせられるが、マーケターは「信頼できる情報がほとんどない状況下」で自社製品がどこに位置するのかを認識し、「これまででもっとも難しい決断を下さなければならない」。
ムーア自身があとがきで述べているように、本書に記載された内容は必ずしも読者の成功を保証するものではない。だが、本書で紹介されているさまざまな製品の成功例、失敗例を頭に焼きつけていれば、二の轍を踏む可能性は少なくなるはずである。語り口も軽快で読みやすく、多くの人におすすめできる。(土井英司) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
Here is the bestselling guide that created a new game plan for marketing in high-tech industries. Crossing the Chasm has become the bible for bringing cutting-edge products to progressively larger markets. This edition provides new insights into the realities of high-tech marketing, with special emphasis on the Internet. It's essential reading for anyone with a stake in the world's most exciting marketplace.
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本書の出版当時は衝撃的な内容だったと思いますが、各々の企業で目指すゴールにバリエーションができた今となっては、ひとつのマーケティング理論という印象です。
今頃読んでのことですから、少し的を得ていない書評かもしれませんが・・・。
でも、長く読み継がれる名著でしょうね。特にハイテク関連などのグローバルスタンダードを目指す会社にとっては。
現在、産学連携ベンチャーの中でマーケティング担当者として新しい分野の技術を世に出そうとしている私としては、どの章も非常に具体的で示唆に富み、読み進む度に翻って自分が遂行している戦略が正しいかというレビューをしてしまう、という内容でした。あえて言うと、一般化しすぎているきらいがあり、対象とする財の種類よって違ってくる点の記述が少ないのが気になった。
1991年初版ということでしたが、改訂版では90年代に米国で成長した有名なハイテク企業もケースとして取り上げられており、単に理論としてだけでなく、ケーススタディとしても楽しめる内容でした。
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