Bangladeshの貧者救済を目的としてGrameen Bankを設立した筆者は、Bankと共に2006年Nobel平和賞を受賞した。「貧困は平和への脅威」と筆者はいう。前著「Banker to the Poor」(私は読んでいない)もBest Sellerだったが、本書も評判を呼んでいる。
本書は、(1)Grameen Bank設立の経緯とグループ企業としての展開の詳述、(2)Evianで有名な仏大企業と合弁でGrameen Dinoneを設立し貧者の幼児に栄養を与えるヨーグルト製造販売事業を始めた経緯の詳細、(3)この2例のように利益指向ではなく社会貢献を目的とするSocial Business=社会貢献企業が必要という主張、(4)貧困と環境を無視してきた資本主義社会への批判と筆者の夢、(5)最後にNobel賞受賞講演全文が本書の要約になっている、そういう内容構成である。
小さ目の活字を詰め込んだ厚い本だけに読みでがあり、一部前後に重複や矛盾があったりするのが欠点ながら、平易な英語で読みやすく、何より筆者の貧者の目線からの熱い想いが伝わってくる。社会貢献企業が資本主義社会のMissing Pieceであり、これが無いと社会が完成形にならないという主張は、ユニークで傾聴に値する。
また筆者は、上からの貧困撲滅運動は非効率だという。貧者には自活力があるからそれを助けるだけで良いという主張だ。乞食に無担保無保証で金利ゼロの「ある時払い」で融資すると、訪問販売の商人に変身してチャンと返済してくれるというから驚く。貧者を自活的に支援し将来に希望を持つ誇り高い市民に育成することこそ最大のテロ対策だと強調する。
善意の偽善者としては大いに共感して私も、Grameenに貧者の一灯を捧げることにした。