250ページの厚さの約150ページが特集。
おおきな顔写真、整然とした書庫の本棚、意外にせまい書斎、ゲラを読む後姿や、大学での授業風景など、カラー写真が随所に盛り込まれ、見ていても十分勉強になる。
記事内容は、中学生時代から大学院時代にかけての読書遍歴や、ロンドン一人旅のころの回想、生まれ育った大田区の土地、カズオ・イシグロとの対談、一問一答など。
なかでも、ミルハウザーやダイベックから届けられた翻訳家にして友人モトとしての人柄を語る手紙が披露されている。これはぜひ読まれるべきだ。これが本雑誌のメインであろう。
小生は、これまで出版された氏の書籍や雑誌、翻訳書のほとんどすべてに目を通してきたつもりですが、この雑誌が極めつけでしょう、今現在。どんなふうにどれだけ洋書を読み、
どれくらいの速さで訳出し、しかもそれらをどこで(部屋の)読み、書いているか、そういった私的空間までを十二分に知ることができます。
マネしようと思うところがいっぱいあって、つい自分を忘れてしまいそうですが、やはり
よく字を書く人だという実感が伝わります。原稿を書いていたり、本をソファーの上で読んでいたりする姿は、それ自体が「絵」になりますが、それもすべて、氏が、活字の世界を
じつに愛情をこめて生き抜いてるからだろうと思われます。カリカリ、カリカリ字を書く姿を写真から想像するだけでも、脱帽です。