J.T.の新作が届いた。全曲カヴァーという大胆な内容。しかし聴いて見ると、全曲余裕の演奏、聴き応えたっぷりの、魅力溢れたアルバムである。思えば昔からJ.T.はカヴァーの名手なのである。J.T.を一躍時の人にした「YOU'VE GOT A FRIEND」もCarol Kingの名曲のカヴァーである。遠い昔、まだ彼女だった亡き妻からプレゼントされた「Gorilla」というアルバムに入っていた「How Sweet It Is (To Be Loved By You)」という曲が一発で気に入って、自分たちでもやろうと決めたのだけれど、後になってそれがモータウンの名曲だということを知った。J.T.のアルバムにはさりげなくカヴァー曲が入っていることが案外多いのだけれど、ちっとも違和感がない。それはきっと彼自身が昔からその曲が大好きで、一生懸命自分のものにしようとしているからなのだと思う。カヴァーしたどの曲にもJ.T.らしさがちゃんと、ある。今回もまた同じ。レナード・コーエンの「SUZANNE」を採り上げたあたりは、「やられた!」という感じ。「ON BROADWAY」や「NOT FADE AWAY」などは再び登場という感じだが、何十年かの歳月を経て、また違った趣きがある。懐かしいと思って聴くもよし。新しい曲として聴くもよし。だれにでもお奨めしたい一枚である。