相手の浮気が原因で恋人と別れることとなったOL・奈月と、あまりに繊細な心を持ったばかりに理解されず、そのために周囲になじめないでいる女子高生・理子との友情譚です。ある日、雨の中、交差点で信号待ちをしている理子に、赤の他人の奈月はすっと自分の傘を差し出します。そのとき呆気にとられた理子の目に映ったのは、見知らぬ、けれどどこか親しみの持てる女性の、涙にぬれた顔だったのです。物語はここから始まります。
「むずかしい年頃」という言葉では説明のつかない悩みを抱えた理子、けっして万能でも無敵でもない「おとな」の奈月、そんな二人の気持ちの交錯、葛藤、調和を紺野さんは白を効果的に使った絵で表現していきます。最後の場面の美しさは私にとって、ほかのどの紺野作品よりも印象的でした。
元は同人誌収録でありながらもポプラ社に単行本を刊行されたということは、それほど評価されたものと受け止めてもいいでしょう。紺野さんの漫画は安心して読めて、他人にも気兼ねなく読んでもらいたくなる魅力にあふれています。このあまりに純粋で精美な友情物語を、未読の方はぜひ読んでみてください。
最後に、紺野さん自身の手による序文を転載しておきましょう。きっと私の拙い文よりも作品の魅力を伝えてくれることでしょう。
たとえば コットンのような しろくて 肌ざわりのよいもの
そういう やさしいもので
はだかんぼうで ふるえてる あの子を くるんであげたい