クラシックの老舗レーベルDeutsche Grammophonからのリリースである。だからといって変にクラシックに媚びていないのがよい。
ディスク1の71分のジャズ・クィンテットと室内オーケストラのための協奏曲が華。上手くオーケストラの響きを織り込みながら、ほぼ全編チックの流麗なピアノが曲をリードし、チックらしいリズミカルな大作に仕上がっている。6つの大陸のパートに分かれているが、各大陸のカラ―が判然とし得いる訳ではない。全体を通して起伏に富んだ流れに身を任せるべき大作。21世紀版ガーシュィンの趣きがあるものの、ジャズ・クィンテットを加えているだけに、ガーシュインよりも軸足はジャズにある。ジャズ・ミュージシャンの余技のレベルを超えた、チックにしか書けない大曲の誕生を歓迎したい。
ディスク2はジャズ・クィンテット4曲(M3だけチック作曲)とチックの短めのソロが11曲。このうち、クィンテットの4曲は本格的なジャズでどの演奏も密度が高く、深い。それに対してソロは、チックが曲想を練る場面をとらえたドキュメンタリー風。あれ、録音してたの、といった会話が入っている。このソロのパートはスケッチ風の性格のため致し方ないのだろうが、通して聴くと、ちょっととりとめがなく、冗長に聴こえるのが惜しい。