こちらを向き、腕を上げて頭の後ろで両手を組んでいる人物を描きたいとする. このとき、肩と腕の筋肉はどのように見え、肘の骨はどのように見えるだろうか? このような絵を写真資料なしに描きたいという意欲を持つ人のための本.
人体を描くために必要な知識を大まかに(1)骨の立体的形状、(2)他の骨との関係、特に関節を動かしたときの位置関係の変化、(3)骨格筋の起点と終点の位置、そして(4)筋肉の量感、と分けてみる.
多くの美術解剖学の本では(1)以外の項目、特に(4)は学びづらい.
著者は項目(1)の知識をある程度持つ読者を対象に多くの図版を用いて項目(2)-(4)を解説している. 項目(2)(3)の説明にも工夫があるが、特に力が入れられているのが項目(4)であり、量感の把握を助けるためにブロック化された人体パーツの図版は、人物を描く上で非常に参考になる. どの図版にも約半世紀にわたって美術学校の教師をつとめた著者の経験が生かされている.
図がメインの本なので、この本を読む上で英語力は必要ないと思う. ただし筋肉の名称もすべて英語なのでウェブ上の英和辞書などが必要かもしれない.
項目(1)については「やさしい美術解剖図」などで補えばよいと思う.★5.