白人が有色人種と関係を持って作らせた混血の私生児は白人と同等に扱われ音楽の教育を受けることが出来たといいます。そこで「混血の音楽」である「ラグタイム」が生まれたのだ、と僕は理解しています。メロディを偏愛するクラシックに、黒人のリズム感が加わって新しい音楽が生まれるなんて、ロマンティックな話ではありませんか。ジャズは勿論、現代の音楽はここから始まったんだ、と思うと感動的です。
ちなみに、スコット・ジョプリンはご存知の通りラグタイムの代表的作曲家です。1868年に生まれ音楽一家の中で育ち、独学でピアノを学び、10代始めに音楽家を目指し家を出た人です。1899年発表の"Maple Leaf Rag" で一躍ラグタイム作曲家として認知されるに至り、その後作曲と音楽教師として生計を立てましたが、娘の死・妻との離婚・ラグタイムの流行の終焉・音楽上の不成功などの不幸が重なり精神を病んで失意のうちに精神病院で死亡しました。
このCDで本当にジョプリンの全作品が聴けるのか分かりません。ただ最晩年の"Treemonisha"の曲も入っているようですね(ジョプリンの自信作であったといわれるオペラですが、この曲は結局発表の機会を得られませんでした)。少なくともこれだけまとめて入っているものは他にないので、資料的には価値があると思います。
なお、ジョプリンが残したピアノロールから録音されたCDが存在します。リズムの取り方が白人の演奏家と全然違いますし、また作曲者ならではの楽譜にない装飾音が多用されております。入手は困難ですがジョプリンが好きなら聴く価値はありますよ。