しょっちゅう出てくるのは、アメリカ風のイギリス英語じゃなくて、まさに英国そのもののコックニー(ロンドン子なまり)。パーカーの「み・らいでい」(はい、お嬢様)をはじめとして、身分や職業、出身地、年代によって英国英語は発音や単語選びが極端に違うに決まっている。それでキャラクターがよりよくわかる仕掛けになっている。スコットランド風やアイルランド風はもちろん、国際救助隊で世界中で活躍するのだから、フランス風の英語、ドイツ風の英語、オリエント風(国籍不明!)の英語、なんていう奇妙な発音もいろいろ出てくるぞ。セリフも、「小鳥が教えてくれた」とか、日本語版より粋にシャレていて、そこがおもしろいのに。
(欧米のDVDで、字幕の無いものなんて、いくらでもある。どうしてもこの『サンダーバード』で英語の字幕が欲しければ、ドイツ語版を買えばいい。聴覚障害者に優しい国だから、原語の英語、ドイツ語の吹き替えはもちろん、英語の字幕も、ドイツ語の字幕も全編に入っている。)
それより、注目すべきは、ストーリー語りの巧妙さだ。クライマックスカット(クリフハンガーでCMに入る)だの、倒叙法(いきなりサスペンスから入って、そこに至る過程を後から語る)だの、いまから考えてもものすごい斬新な語り口が全三二話に散りばめられており、どれも飽きさせない。
「FAB!」なんて、もとから意味のある単語じゃない。子供向けの話だから、見ればわかるようになっている。まず見よう! で、英語の細やかなニュアンスもわかれば、『サンダーバード』の世界の中の複雑な社会的立場や人間的関係、国際的展開がわかって、さらにおもしろい。安易に吹き替えに頼らないためにも、英語だけのこの安いヴァージョンの方が、ずっとおすすめだ!