マリス・ヤンソンス(Marris Jansons)指揮によるショスタコーヴィチの交響曲シリーズがついに全集となって完結した。ショスターコヴィチ生誕100年にあたる2006年に全集化されたのは、あるいは予定通りなのだろうか?と思ってしまうが、かなりの長丁場だったことは録音年をみるとわかる。
最初の録音は第7番で1988年、最後に録音されたのが第13番で2005年のものなので、足掛け18年のプロジェクトということになる。
本盤の特徴としてまず、様々なオーケストラが起用されていることがある。ベルリンフィル(第1番)、バイエルン放送交響楽団(第2番・第3番・第4番・第12番・第14番)、ウィーンフィル(第5番)、オスロフィル(第6番・第9番)、サンクトペテルスブルクフィル(第7番)、ピッツバーグ交響楽団(第8番)、フィラデルフィア管弦楽団(第10番・第11番)、ロンドンフィル(第15番)とかなり多彩で、オーケストラの聴き比べもできてしまう。
第2の特徴として、いくつかの小品がボーナス的に収録されていることがあり、これは他の全集にはみられないきわめて良心的な企画で、私もとても楽しむことができた。
演奏は全般にソフトな洗練を思わせるもので、いわゆる西欧風というスタイルだ。過剰な演出はせずに温厚な音作りを基本としながら、やるべきときにはきちんと音を出してくる。特に印象がよかったのが小気味のいい味わいに満ちた第9番だった。またショスタコーヴィチの録音自体が少ないウィーンフィルの第5番はなかなか貴重であるが、その音色の芳醇さはすばらしく、ショスタコーヴィチでここまで「酔う」色を出せるのかと驚嘆させられた。
また特に人気のない第2番や第12番において、音の層を丹念に構築して聴かせる演奏になっているのも、全集としての質を高めている。
なお、中の各紙パッケージも含めてジャケットデザインのセンスが良いのも好印象だ。