H・メリルは、1954年12月にクリフォード・ブラウンを加えたクインシ−・ジョーンズ・グループのサポートを得てNYで録音したわずか7曲のアルバムによって一挙に「NYのため息」といわれるようになった。このCDには、それらの7曲に翌1955年ロサンジェルスでクインシー・ジョーンズらとともに録音した12曲をボーナス(!)として加えた全19曲の超お徳用盤である。
上記7曲だけの国内盤は歌詞カードと解説がついて2千円弱で入手できる。輸入盤は更に安いが歌詞カードはない。ただし、クインシー・ジョーンズのコメント(もちろん英文)がついている。
余談ながら、今年(2010年)1月、彼女の来日コンサートが企画され入場券も予約発売されたけれども、「ご家族の病気のため」実現されなかった。息の長い歌手であるが、余りに早くに決定的な持ち歌(YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO) を得てしまったのは幸せだったのかどうか。
演奏そのものについては今更言うまい。何と言っても一時代を画した名歌手である。彼女の歌を聴いてみたい人には、このCDに加えて、ヴィクターのCD「ヘレン・メリル」をお勧めしよう。後者は後年の来日時に録音したもので、ジャズ以外の歌も含んでいるが、彼女のサービスとして楽しみたい。ただし、録音データ(年月・場所)を全く示さないのは、ヘレンにも聴き手にも不誠実極まる。