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彼女は、上層中流階級の家庭に育ち、自分の身の回りの凡庸さやスノビズムに反発しながら、いろいろ理想を持つ、情緒豊かで生き生きとした、いかにも若者らしい才色兼備な美術の学生。
彼は、中流のかなり下層に近い環境で目立たずに地味に育ち、「自分をわかってくれない」「自分を見下す」人々や社会にコンプレックスを持っています。彼女を誘拐し地下に監禁し、外界から遮断したのは、レイプするためでも殺すためでもなく、社会的に自分と接点のない彼女と無理矢理接点をつくり「自分を知って、好きになって欲しい」から。彼は監禁した彼女にまるで執事のように尽くし、物質的には何でも買い与え、彼女は彼女は、嫌悪を感じながらも、自分が自由になるためにも、また彼に対する一種の哀れみからも、彼の歪んで閉じた心をなんとかしようとしますが…。
小説では彼女が監禁されている間の同じ時系列の出来事とそれにそった二人の心の変化を、彼のモノローグと彼女の日記の両方が語っていきます。(外界の思い出も混ぜて感情と思考豊かに書く彼女の書き方と、淡々と乾いた口調で彼女のことばかりしか語らない彼のモノローグは非常に対照的です。)
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