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才能と運命の思いがけないめぐり合わせによって、22歳のジョシュ・グローバンはパフォーマンス・アートの勉強を最終学年で中断し、代わりにメジャー・レーベルからの第2弾アルバムとなる本作『Closer』をリリースした。この若き奇才ヴォーカリストのデビュー・アルバム『Josh Groban』を気に入ったリスナーなら、本作も大いに楽しめるだろう。とはいえ、グローバンはプロデューサーであり恩師でもあるデヴィッド・フォスターのMOR的なポップ・センスに少しずつ近づいている。従来のようなストレートなライト・クラシックとか、ポップスやロックのカバーを避けて、ヨーロピアン・テイストのドラマティックなバラードを多く取り上げたことで、グローバンの魅力的なバリトンが際立つことになった。クロスオーヴァー路線をひた走るアンドレア・ボチェッリやラッセル・ワトソンに対して、グローバンは賢明にもアメリカン・オルタナティヴという立場を取って見せた。
「Caruso」は曲自体の持つオペラ的な性格がうまく伝わってこないうらみが残るが、「Oceano」と「My Confession」はグローバンのドラマティックな表現力をありありと示す出来だ。彼にはぜひとも本格的なブロードウェイ・ミュージカルに挑戦してもらいたいところである。ルイス・バカロフの作曲による映画『イル・ポスティーノ』のテーマ曲は、クラシック界の大物ジョシュア・ベルのヴァイオリンをフィーチャー。その効果は絶大だ。ベルの参加を得たことで、グローバンはある種の円熟味を身につけた。ビタースウィートな「Per Te」や「Remember When It Rains」といった、グローバン自身がソングライティングに関わったナンバーを聴けば、それは明らかだろう。一方、ディープ・フォレストによる「Never Let Go」のアンビエントかつエスニックなサウンドスケープは、メロドラマティックな雰囲気が濃厚な本作にユーモラスな味わいを添えている。フォスターに導かれて、グローバンは商業的な大成功を手にした。しかし、まだ彼はアーティストとして充分な自己主張をしていないという感じがする――今のところは。(Jerry McCulley, Amazon.co.uk)