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ホーマーはあまり乗り気ではないが、孤児院を出ることを恐れてもいない。最も怯えていたのは仕掛け人であるドクター・ラーチだった。ホーマーが元気でいられるようにと「大事な保険」をかけ、去り行くホーマーを遠くから見守りながら、こっそり呟く。Please be healthy, please take care, Please be happy.
ホーマーの親代わりをしたドクター・ラーチと、共に働く二人の女性は無尽蔵に愛情を注ぐことができる素敵な才能を持つ。だから「外の世界」でいろいろな出来事に遭遇しても、ホーマーには思い出せる顔がある。彼らが教えてくれたことを思い、自分の位置を確認しながらホーマーは「役に立つ人間」として生きる方法を模索する。
この本には悲しい場面もたくさんあるけれど、やさしい場面もたくさんある。特に私が好きなのは、孤児院を「去る」子供に、みんなでお休み前に唱える「さようなら」の定型句だ。
「今日は、ホーマーがおうちをみつけました。みんなでホーマーの幸せを祈りながら、おやすみを言いましょうね。」
「おやすみ、ホーマー」
「サイダー・ハウス・ルール」は、とても現実的に社会を描き出している一方で、人間こうあってほしい、という私達の理想が反映されているおとぎばなしのような小説でもあります。
私はサイダー・ハウスやセントクラウズは現代の桃源郷だと感じました。
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