この録音のLPを数十年前から愛聴してきました。古くてノイズも多くなったLPを処分しようと、CDを探しあてました。輸入版にアルヒーフの記念版があることを見つけて即注文しました。この曲はカザルスの録音が名演中の名演として知れ渡っており、力強くて素晴らしい演奏ですが、悲しいかな録音状態は非常に古くて現在の技術とくらべると鑑賞に耐えないと感ずる人も多いでしょう。勉強のための資料という観点から聴くには十分ですが。一方、フルニエのこの録音はカザルスよりは20年以上新しく、当時のドイツグラモフォンーアルヒーフのアナログ録音の最高技術を使っていて、現在の録音に比べて殆ど遜色がありません。音楽的には一つ一つの音符が持続したテヌートの演奏で、とても古典的かつスケールの大きい、そしてろうろうと歌っている演奏です。きっと多くの人が心の洗われるような感銘をうけると思います。モダンな演奏ではミッシャマイスキーなどもありますが、その解釈はむしろロマン派的です。また古楽器によるものではアンナービルスマも好評で、好みの問題でしょうが、フルニエを聞いた人は多くがきっと最後にこの演奏に帰ってくると思います。