ジェームス・カーターの最新作。そして傑作です。サキソフォン協奏曲とも呼びうる内容の作品になっていますが、ジャズ・プレイヤーがシンフォニー・オーケストラと協演した数ある作品の中では、スタン・ゲッツのFocus(焦点)と並ぶ感動作ではないでしょうか。
デビュー作のJC on the Set、第2作のJurassic Classics、第4作のConversin with the Eldersでのカーターは、確かなテクニックをもとに、ジャズの伝統に根ざしながらも冒険を恐れずスリルに満ちた演奏で我々を驚かせ、大いに将来を期待させました。ソニー・ロリンズが「最も期待する新人」として彼の名をあげたという話も聞きました。しかし、その後は狙いの定まらない凡作や、企画だおれの作品、部分的には素晴らしくてもアルバム全体としての感動に欠ける諸作が続き、彼のファンとしてはフラストレーションが溜まっていたところでした。そうした気分を完全に払拭してくれるのが、このアルバムです。
オーケストラをバックに縦横無尽に吹きまくり、圧倒的な音圧での無伴奏ソロも随所で効果的に挟みます。4は全編無伴奏ソロ。5では、ケニー・バロンとのデュオで力量のほどを知らしめたレジーナ・カーターのバイオリンが絡みます。
最後まで聴き手を惹きつけて離さない緊張感に身が震いますが、もし冒頭を聴いて多少の違和感を持たれた方は、3か4から聴き始めて下さい。