マデリン・ペルーは、ジャズ指向のノラ・ジョーンズの先駆けとなったと言われる女性ミュージシャン(1973年生まれ)。本作は、レナード・コーエン、ビリー・ホリデイ、ボブ・ディラン、エリオット・スミス、ハンク・ウィリアムズなどの古今アメリカの名曲をジャズに融合したカヴァー集。とくに、トラック2は、ノラ・ジョーンズ「ドント・ノー・ホワイ」のライターとしても知られるジェシー・ハリスがインディーズ時代にアルバムで発表していた曲ですが、マデリン・ペルーとジェシー・ハリスらとの共作曲です。
ジャズをあまり聴かないぼくが聴くと、「エラ・フィッツジェラルドが歌うコール・ポーター」、つまり五十年代のジャズの音を思わせる、レトロスペクティヴ(懐古趣味の)/ノスタルジック(郷愁のある)で、しかも精巧な音作りです。
ただ、ヴォーカルと曲調は、エラ・フィッツジェラルドというより、もっと渋めのビリー・ホリデイに近いです。歌声、ピアノ、オルガン、アコースティック・ギターなど、たえず温厚でいても、感情や懐古趣味を圧しつけずにクールです。まったく暗いというわけでもないのですが、テンポはすべて、深夜、キャバレーを思わせるミディアム、もしくはスロー。でも、トラック11、12でまるで朝焼けを迎えたかのように明るい雰囲気になります。
12曲で約43分と、演奏時間は短めで、テンポよく曲が替わります。最近のCDは一曲の演奏時間が長いことにご不満があるかたには最適なアルバムでしょう。
やはり、シングル・カットもされた自作で共作のトラック2がすばらしいです。