最も参考になったカスタマーレビュー
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5つ星のうち 4.0
これはよい, 2007/1/5
レビュー対象商品: CURE キュア [DVD] (DVD)
以前黒沢清の「回路」を見て、やりたいことはわかるけど、あんまりおもしろくないという印象を受けた。キュアの評価があまりに高いので見てみたが、なるほど回路よりも数段いい。
ただ、普通のリングやらせんなどのB級ホラーを期待してみるのだけはやめたほうがいい。エンターテイメントの法則をまったく無視して、純文学的手法によっている。回路ではそこによりすぎ、またリアリティを欠きすぎた演出・演技が頻出して首を傾げたが、これは成功している。
癒しというか、暗い癒し。我々は何によって癒されるかは人それぞれ、しょせんわかりあえない他人の心の奥底に踏み込んで、そこから何を癒す・癒されるかを求めていくしかないのか。
ときどきリアリティのない演技・演出があるが、まあ我慢できる範囲だ。終わり方もよいし。それに、この監督は、たとえば、「悲しいシーンで悲しい音楽を流すこと」に疑問を持っている人だということはわかった。表現について考えている、好感の持てる態度だ。
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
CUREの伝道師は承継されCUREは続く…, 2006/6/24
レビュー対象商品: CURE キュア [DVD] (DVD)
ストーリーの端緒は他の映画や2時間ドラマでもありそうな同じ手口による猟奇殺人。しかし、実行犯はすぐ捕まるし、不思議なことに犯人たちには接点がない。しかも手口は公表されていないにも関わらず毎回同じ手口である。その真相を高部刑事が探っていくサスペンスであり、キーパーソン間宮が登場するまでは淡々と、しかも、分かりやすく進む。しかし、間宮と高部が出会ってから鑑賞していて得体の知れない怖さを感じた。 この作品を初めて鑑賞した時、本当の怖さというのは、スプラッター的な肉体が切り刻まれる怖さではなく、精神、心の奥底に侵入され暗部を抉られ、自らを制御できないことだと感じた。 だからこそ、間宮と出合った犯人達はみな自らの行いに、CURE(癒し)から解き放たれた時に愕然とし、怯え、後悔する。 一方、伝道師となる高部は生まれ変わったかのようにモリモリとステーキを頬張り、コーヒーをすすり、恍惚の表情を浮かべる。 この勝者と敗者の図式のような両側の違いを比較するとこの作品の怖さがジワジワと感じられると思う。 そして、さりげない最後のシーンが余計に怖さを引き立てているのではないだろうか…。 この作品では上述したストーリーの良さは勿論のこと、役者の演技がさらに作品のよさを引き出している。特に、間宮を演じる萩原聖人さんの抑揚のない淡々とした話し方と、全てを見透かしているような達観したムカつくほど冷静な態度は、本物の間宮と感じさせる真に迫ったもので印象深い。 好き嫌いはわかれるとは思うが一度は観ておいてほしいと感じる作品です。
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5つ星のうち 5.0
鮮烈なラストシーン, 2004/3/8
レビュー対象商品: CURE キュア [DVD] (DVD)
特にこの作品に関しては、不完全な解釈をしても仕方がないので、場面の紹介でレヴューに替えたい。 役所広司演じる刑事が、疲れ切った様子で夜遅く帰宅する。いつものように空の洗濯機の回る音がする。男は帰宅直後の儀式として洗濯機を止め、洗濯機は軋んだ音を立てて止まる。ダイニングテーブルの上にはたった一皿しかない。皿にはレンジ用プラスチック製の蓋が被さっている。男が蓋を取ると、そこに生肉が姿を現す。しばらく生肉を眺めていた男は、突然それを取り上げ、思い切り壁に叩きつける。 ラストシーンの直前。刑事はいつものファミレスで、爽快そのものの顔でコーヒーを飲んでいる。萩原聖人が演じる「伝道師」によって無意識の欲望を表出=行動化した彼は、今や完全に癒されている。今や彼は、彼がそこにいるだけで、「伝道師」のように「あんた誰?」と語りかけることすら必要とせず、周囲の者を癒してしまう力を持っている。店内では、一人のウェイトレスが、先輩とおぼしきもう一人のウェイトレスに、多分いつものように叱責されている。辛そうにうつむく彼女。 これに続くラストシーンは(画面を注視する必要がある)、鮮烈な力で観る者を貫く。それと同時に突然終わるこの映像の流れが、果たして「映画」だったのか、それとも何か決して忘れがたい出来事そのものなのか、未だに答はない。私がこの作品と比較できるのは、現在は鑑賞・入手困難かもしれないが、ファスビンダーの『ケレル』(ジュネの作品の映画化)だけである。
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