目が覚めるとそこは無機質な立方体の中。警官・医師・大学生・技術者・伝説の脱獄囚・自閉症患者、面識のない男女が閉じ込められたその立方体は途方もなく巨大なルービックキューブ状のものだった。
此処はどこなのか、誰が、何の為に作ったのか、何故彼らがそこに連れて来られたのか。全てが謎のままに脱出を試みる彼らを待つ様々なトラップと。共に行動する人間に対する猜疑心。閉鎖された空間の閉じ込められたことによる焦燥感。極限状態に追い詰められた人間の心の厭らしさ、醜さ、傲慢さ、無謀さ、様々な人間模様を垣間見ることができる描写は見ごたえがある。
シーンはキューブを移動する度に壁の色が変わるだけで、延々とキューブの中だけで進行していく。ある意味、舞台の装置レベルの場面転換だが、そこに安っぽさは感じず、次は何が起こるのか期待せずにはいられない。そこは銃の無い戦場でもあり、ベッドの無い病室でもあり、観察者が存在しない実験室なのかもしれない。いずれにしろ彼らにとっては地獄であることに変わりはなく、さしたと思った光明も遮られる展開は見るものを引き込む要素の一つと言えるだろう。
残念ながら俺は数学に弱いので後半の展開を100%理解しながら見るというコトはできなかったが、数学的なトリックも見ごたえの一つである。見る前に数学の教科書を読み直しておくと良いかもしれない。
余分なサイドストーリーがなく、始まっていきなりトラップは発動するわ、人は死ぬわ、メンバーの個性は豊かだわでつかみは最高。個性豊かな登場人物の割に、全員が己を押さえ、相手の出方を探り探り進んでゆく。そして最後には…最初から最後まで淡々と進み、ラストには感慨など起こらず虚脱感が残る。
2年前くらいにDVDで見たのだが、2が出ていることに気づき、おさらいをしておこうと思い再度1から見た。やっぱり面白い。ただ、どことなく平和ボケした日常の中で、ひょっとしたら現実に有り得ない話ではないと思ってゾッとしたのは考え過ぎだろうか。