CSRは、企業活動に伴う社会的・環境的問題に対するステークホルダーからの批判や要請に企業が応える関係が基本である。だが、日本では戦後、株主、従業員などコアのステークホルダーを取り込むようなネットワークシステムとして企業社会を形成してきたため、ステークホルダーが企業に対峙し、経営のあり方をチェックするという関係性が弱かった。1990年代以降、日本企業のグローバル化やステークホルダーとの関係変化などを受け、CSRへの関心が急速に高まってきたが、実際の動きはまだ鈍い。
CSRは、事業活動と離れたところで何か特別な社会貢献活動をするものではない。社会的公正性や環境・人権などの配慮という価値観を持って、日常の事業活動を展開し、社会的信頼を得て企業価値を増大することが重要。そのためには、ビジョンを持った企業経営こそが必要だと強調する。社会の一員として、他者との良好な関係を築く義務があるという意味からも、戦略的な「ステークホルダー・リレーションズ」を確立すべきとも指摘している。
(日経ビジネス 2004/10/04 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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この本は、企業と市民社会のもつれあった関係を快刀乱麻を断つごとくに示してくれる。歴史的な流れをきちんと押さえているし、環境、人権、SRIなど実に多様な要素のつながりもわかる。
著者たちのスタンスも、企業、政府、市民(NGOなど)のバランスが非常に良い。こきおろし過ぎもせず、おだて過ぎもしていない。批判すべきところはきちんと批判し、評価すべき点は素直に認めている。
さらに、参考文献や関連資料などが懇切丁寧に示され、入門書としてまたテキストとして使い勝手の良いものとなっている。昨今の流行でCSRがらみの書籍が増える中、一読の価値ある良書である。
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