NY編のイメージカラーは、やや紫を帯びた深い蒼。涼しげですが、本当は、赤より高温な、灼熱の炎の色です。一見3シリーズでももっとも淡々とした感じで捜査しつつも、その実、激情を心に秘めて矜持を持ったメンバーの気性をよくあらわしています。
(炎の色は、燃焼のエネルギーの大きさすなわち燃焼温度と関係しており、高温で燃えると青、温度が低くなるにつれて黄〜橙に炎の色が変わります。アルコールランプの黄色い炎よりガスバーナーの青い炎の方が、温度が高い)
妻を9・11テロで失った元海兵隊員であるチームリーダー・マック(ゲイリー・シニーズ)、特殊な環境で育ったこともあり独特な倫理観を持って逡巡しつつもマックの期待に応えようと努力するダニー(カーマイン・ジョヴィナッツォ)、家族に不遇な環境で育ったがそれをばねにしてバイタリティーあふれる行動派捜査で被害者を救おうとするステラ(メリーナ・カナカレデス)、復顔を得意とするセクシーな都会派キャリアウーマン・エイデン(ヴァネッサ・フェルリト)という、一応は公務員とは思えない独特なメンバーが活躍します。
このシリーズは、他のCSIシリーズと違い、科学捜査を主眼にしつつも、サイコな要素も持っています。メンバーは最先端の科学を駆使しつつも、その心中は科学捜査至上主義でなく、むしろ犯罪者の内面や動機に考えをめぐらせ、「なぜ彼(彼女)は罪を犯したのか」「どんな闇を秘めていたのか」「どんな環境が動機をつくってきて、これから彼(彼女)らはどんな道を歩むのか」を深く想い真実を探そうとする。時に直感や感覚と推理と矛盾する証拠が見つかった際には、捜査のスピードを犠牲にしても、伸張かつ誠実に被疑者の言葉を聞く誠実さと公平さがとても印象的。
作中で“科学が生み出すものは悲しみ”との台詞が出てきますが、科学を用いるものが、“心ある科学者”である限り、科学が生み出すものはそれだけでないはず。
世渡りだとか要領のよさだとか、その手の類のものとは無縁な場所にいて、真実を探そうとする中庸なメンバーがとても好き。”「事実」は一つしかないかもしれないが、「真実」は人の数だけ存在する”――私の信条であり理想ですが、それを再現しながら生きている彼らに、とても憧れます。
人の心は、夜の闇のように、底が見えない。世の中にはおよそ物事の表面しか必要としない人も沢山いるけれど、闇の先に何があるのか、真摯に探して見届けようとする人もいるのだということが、心に残ります。