私たちヒトの中には、別の世界で冒険をしてみたいと思う者が少なからずいると思います。
かくいう私もそんな人間でした。
それにしても、人間の視点から一端離れて見れば、
自分たちが住んでいる地球はこんなにも違って見えるものでしょうか。
ただし、そのとき私が見た地球は、何とも荒廃した世界なのでした。
シンタロウたちは、未だ理想郷を信じて旅を続け、
またしても正面からではまったく歯がたたないような、絶望的に強い新たな敵に出会います。
まだ旅を始めたばかりのシンタロウ達にとって先輩に当たる様々な魚たちにも出会います。
「生贄」というキーワードが出てくる場面もあります。
……なんだこりゃ。いざ言ってみるとまるでハードな世界を生き、
そんな世界で根拠のない未来を夢見る人間を描いた物語のようではないか。
……ここって本当に地球?
今回特に目を引いたのが2点。
1点目はサメの表現。すごい。
捕食される側の魚たちから見たサメの理不尽的な強さ、
そして恐怖が漫画ならに見事に表現されています。
思わず自分もゾっとしてしまうシーンがありました。
いや、この迫力はパニック映画さながら(言いすぎか?)。
個人的には、名作パニック映画『ディープブルー』を見たときに似た感覚を思い出します。
そして2点目ですが、ラブコメ要素が絡みはじめてきました。
これがかなり斬新、もとい新鮮。
シンタロウたち魚のフェチ話、かなり面白いです。
作者の菅野先生、いやはや妄想力に関してはもはや無形文化財に指定してもいいのでは?
それにしてもシンタロウはどっちを選ぶんでしょうか?
やはり、ユウカ? それともスズネ?
それとも皆生き残れない?
できれば、ハッピーエンドで終わってほしい。
あと、個人的にスズネみたいな子は応援したくなる
「お前何の話してんの?」
「ん? ああ、魚の話だよ、魚の」
ちなみに、大沖教授とクリス、人間である二人の話が良い感じにバランスを保っています。
クリムゾンズの一番の醍醐味は、
今までの既存作品とは違い、人間はあくまで傍観者の立場に近いものとして
理不尽な海の世界を生きるシンタロウ達と同時進行で描くことによって、
食物連鎖による生物間の陰と陽がありありと描かれているところではないかと、個人的には思っています。
「生まれ変われるとしたら何になりたい?」という質問に、今の私ははっきり答えられます。
「人間です」と。
別に格好良い理由なんてありません。
人間以外の生物になったとして、私には生きていける自信がまるっきりないだけだからです。
それにしても、発行部数の余りの少なさ、レビューの見かけなさからして、
ちょっと嫌な予感が……。
朝日新聞の書評で大絶賛されたようなので、それを武器にどうにか最後まで生き残って欲しい。
まさか、作品自体がクリムゾンズ状態とは(笑)