「貧乏が憎い」〜サルバトーレ(トト)が、マフィアの世界に足を踏み入れた理由。
シチリアは文明の十字路と呼ばれ、長く異国や異民族に支配され続けた歴史があるという。
19世紀後半にイタリアが統一されてからも、劇中の台詞「国は俺達の村がある事すら知らない」で表現されているように、シチリアの小さな村は取り残されてきた。
大地主とマフィアに牛耳られ、搾取され続ける小作人たちは貧困に苦しむ。
戦時中にアメリカが落としていった不発弾が、コルレオーネ村のトトの人生を変える。
このシークエンスが象徴するものに、心が震えた。
若くして一家の長となったトトが、持ち前の智と野心と怜悧さで、マフィアの単なる手下から徐々にのし上がっていく過程に引き込まれていく。
実話に基づいたドラマだけに、説得力があった。
特にDVDの1枚目の法廷シーンで、本当のマフィアの怖ろしさを震撼。
官憲、地主、社会的強者、マフィアの強い結びつきに正義は存在せず、コルレオーネ村の民は諦観し沈黙するしかないのだ。
島民の命綱である水の利権をめぐり、マフィアの抗争が激化していく。
ダム建設を強行に拒む理由=「この村のカネは俺が全てコントロールする」と豪語するマフィアのドン。ドンと対抗する新興勢力の要となっていくのがトト。
マフィアの勢力争い、下克上が描かれ、「邪魔だから消す」ただそれだけで行われる戦慄の報復劇。
己の野望のためなら、全く躊躇せずに徹底的に手を下すトトの心の奥底にあるのは、貧困への憎悪。
少年の頃にトトと袂を分かち、警察に勤務するビアージョとトトの二人を軸に展開されていくところも面白い。
本国イタリアで、驚異的な視聴率を記録したというドラマだが、すごく見ごたえがあり堪能できた。
抗争シーンや俳優の演技もリアリティがあり、全ての回が上質なドラマに仕上がっていて密度が濃い。
*レビュアーの方々のレビューを拝読した事がきっかけになり、鑑賞した作品で出会いに感謝しております。