トム・クランシーが描くジャック・ライアンはじめ映画や小説の中で活躍するエージェントは少なくなく、知名度抜群だが一方で、実態は知られることが少ない情報機関CIAを取り上げた。
前半部ではその歴史的経緯、内実、体質を描き、後半はアメリカ外交史、特に冷戦終結以降、9・11同時多発テロ、さらにアフガニスタン戦争、イラク戦争への道筋や同戦争の発端となる核兵器問題にまつわる疑惑など現在進行形、リアルタイムな状況までを描く。
後半の展開は国際政治学を専門とする著者の面目躍如たる内容。クリントン大統領との不和などの一見、ささいな事柄がアメリカの外交上の判断に大なり小なり影響を与えていたという事実など、表面的な歴史には現れてこない事実が目新しく新鮮。
有能で合理的な判断を行う冷徹な情報処理組織といったイメージとは正反対の組織の実態には他国のことながら半ば唖然・暗然とする一方で、東西和洋を問わずどこも同じか・・という妙な安心感もあった・・
本書での最大の収穫は、混沌とした90年代以降の現代史をCIA等の情報機関の関わりという視点で整理され提供されている部分。
ここで得られる新たな視点は、今後とも世界情勢を読む上で有用であるだろう。