最初に聴いたときは「さすがだけど、こんなものかな」ぐらいの印象しかなかった。
ときおり、バケットヘッドさんやロンサールさんのギターがスパイスとして効いてきて、それが気持ちいいな、くらいでしょうか。デビュー作「アペタイト・フォー・ディストラクション」の衝撃と興奮を期待すると、食いつきの物足りなさは感じるかもしれませんね。
でも、このアルバム、不思議なくらい「飽きない」のです。
聴けば聴くほど、それぞれの楽曲、アレンジの奥深さに舌を巻くばかりです。
確かに、時間やお金をかけた分、逆に失うものもあったかもしれない。でも、どの楽曲においても、繊細で研ぎすまされたエッセンスが何層にも重ねられていて、聴くたびにその薄いベールをはいだ下の層が脳裏に染み渡っていきます。
それでも何かが足りないようで、それを探しているうちに、いつの間にか自分のほうがアルバムの世界の中にいて、すっかり音に包み込まれている。これはもう「完成度」という言葉さえも安っぽく感じさせるほどの味わい。
もう何日聴き続けているでしょうか。近年、これほどの引力を感じるアルバムはなかったように思います。
ロック・ファンでよかった。