なお、リーフレットにはイタリア語の歌詞と対訳、彼らのポートレイトなどは掲載してあるのですが、各人の経歴や曲目の解説はありません。LEGENDに関心を持ってもらうためにもその辺はファンの知りたいと言う欲求に適えていただく方が良いと思いました。
ソニー・ミュージックの代わりに紹介しますと、メンバーは志村糧一、柿迫 秀、吉田知明 (テノール)、内田智一、菅原浩史 (バリトン)の5人のソリスト集団です。ちょうど4人組のヴォーカル・グループ「イル・ディーヴォ」のイメージでとらえています。
5人とも国立音楽大学出身でした。同大学院を修了したり、イタリアへ留学、コンクールに入賞、オペラの舞台で活躍するなど、それぞれオペラを中心に音楽活動してきました。2005年12月にLEGENDを結成し、全国でコンサートを開いています。
曲目は、お得意のイタリア語と日本語で歌われており、カンツォーネから結構選曲されていました。ユニゾンの箇所も多く、重唱の箇所はコーラス・グループのようなハモリに力点を置くのではなく、各人の声質を尊重した重なりや厚みを前面に押し出していました。
冒頭の「TIME TO SAY GOODBYE CON TE PARTIR'」は彼らの声の魅力や重唱の力感がストレートに伝わり、大変気に入りました。イタリア語は安心して聴くことができます。ラストのハモリの重量感は彼らの魅力を生かしているでしょう。
1958年のサン・レモ音楽祭優勝曲「ボラーレ NEL BLU, DIPINTO DI BLU」の躍動感溢れる歌唱は大変気に入りました。各人ともしっかりとしたヴェルカントの歌唱を披露しており、カンツォーネでの開放的な発声も心地よく伝わってきました。
ジリオラ・チンクエッティが歌って日本でもヒットした「La pioggia(雨)」は1969年 の第19回サン・レモ音楽祭入賞曲で大変懐かしく聴きました。林 有三のアレンジもオリジナルのイメージを大切にしており、男声ユニットでの「雨」も良いものだと思いました。なお、59秒の箇所と2分12秒のメロディはオリジナルと少し違うのが気になりました。楽譜のせいでしょうか。
5曲目は彼らのオリジナル曲「HAPPY LEG♪END」で、なかなかステキな歌詞と分かりやすいメロディで、気に入りました。彼らのテーマソングなのでしょう。
「誰も寝てはならぬ」はジャングルの中にいるような効果音を背景にかなり凝ったアレンジでした。この編曲は好みが分かれます。有名な曲ですし、過去の名歌手の名唱と比較されやすく、各人の声質の違いや発声の違いもくっきり浮かび上がっています。後半のようにユニゾンとハーモニーで勝負した方が無難だと思います。なにしろ難曲ですから。
1971年のサン・レモ音楽祭2位の曲でアルバムタイトルにもなった「ケ・サラ」がラストに収められています。ユニゾンがほとんどハーモニーの箇所が少なかったのは彼らの声の魅力を生かすためのものだったのでしょうか。他のコーラス・ユニットとの差別化だったのかもしれませんが。
Legend Pianistsとして中村匡宏、大井 健が参加しており、ドビュッシーの組曲「子供の領分」より「ゴリウォーグのケークウォーク」で息の合ったピアノ・デュオを披露していました。