内容紹介
「機械工学最前線」シリーズは,現在の機械工学各分野における最先端の状況を,若手技術者や大学院生などへ専門レベルで伝えていこうという企画です.このシリーズの第2巻として,『CFD最前線』(CFDはComputational Fluid Dynamicsの略)を送り出すことになりました.パーソナルコンピュータなど計算機の発達とともに計算物理学の分野は長足の発展を見せており,流体を取り扱った数値流体力学の分野も近年急速に発展してきております.数値流体力学の分野ではさまざまな計算手法が用いられており,それらを網羅的に扱うと,とんでもない大部の本ができあがってしまいます.大まかに手法名を挙げただけでも,差分法,有限要素法,境界要素法,渦法,粒子法,分子動力学法,SPH法などがあり,DNSや乱流モデルなども考えると,とても1冊でカバーすることはできません.こうした数値解法には,古くから研究・利用され非常に実用性に富んだ手法もあれば,比較的最近注目され発展してきた手法もあります.これらの中から,本巻では最近活発に研究・開発が行われている手法や今後将来的に大きく発展する可能性のある手法の中から,3つの手法を取り上げることにしました.出版分科会と責任編集者の判断により,「格子ボルツマン法」,「GSMAC有限要素法」および「CIP法」を選び,それぞれの手法の開発者や国内でこれらの数値解析法について最先端の研究をしておられる先生方に執筆を依頼することになりました.
「格子ボルツマン法」は比較的最近注目を浴びるようになった手法で,オートセルマトン系統の数値解析手法です.まだまだ問題点を残してはいますが,特に混相流の数値解析などに対して今後大きな発展が期待される手法です.この項の執筆は,国内での格子ボルツマン法研究で先導的な役割を果たしておられる蔦原道久・神戸大学教授と,この分野で活発なご研究をされている宇宙航空研究開発機構の渡利實先生にお願いしました.本解説は,蔦原先生らによる『格子気体法・格子ボルツマン法』(コロナ社)のその後を補完するもので,格子ボルツマン法の概要と現状を手っ取り早く知りたいという方に好適の内容となっています.
(井門康司「まえがき」より)