内容(「CDジャーナル」データベースより)
清水靖晃のテナー・サックスによるバッハの無伴奏チェロ組曲の4番~6番。釜石鉱山の地下空洞やイタリアの16世紀の離宮,同じくイタリアの18世紀の邸宅でそれぞれ録音された。ジャズやロックを吹かせても卓抜な清水だが,実にふくよかで官能的な音色のバッハが響く。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
こういうハイブリッド的なアルバムは捉えられ方もいろいろで、ともすれば芸術的見地に邪魔されてアーティストの“思いつき”が無視されがちだ。サキソフォンでバッハの“無伴奏”を吹くこと。それはもちろん技術的な、また音楽的な挑戦だろうが、この楽器の特質をバッハの世界に持ち込む意図でもあるだろう。息によって制御されるフレーズ、独特のブローイング時の強い抵抗。これらの結果として、遅いテンポと深いうねりを持つ一風変わった、しかし心地よいバッハが現出する。クラシックとしてだけ聴けば、こういった事象や技巧面も耳につくが、他の楽器でもあるいはそうだったように、バッハの透明性は、抵抗なくこの闖入を許容し、環境音楽として扱われることをさえ許している。前述した特質からきわめて肉体的/生音的なこのサウンドは、同時に無機的/空間的なサウンドでもあるのだ。収録する空間へのこだわりは、しごく妥当な考察の結果だろう。 (榊順一) --- 1999年12月号