24のショート・ピースからなる『叙情小曲集』、3曲からなる『クラシック・カーニバル』、ピアノ連弾作品を含めた13の小品を収めた『小品集』で構成されたCD。アメリカの作曲家、ウィリアム・L・ギロック(1917-1993)の小品の数々を、渡米して、作曲家に直接指導を受けた伊藤仁美(ピアノ)が弾いた一枚です。
短い曲だと、わずか20秒(『叙情小曲集』の中の「とんぼ」)。長いものでも、3分かからないんですね(『小品集』の中の「ワルツ・エチュード」)。タイトルを眺めながら「さて、どんな曲だろう」と聴いていくと、物語の扉が開いてその入口に立っている妙味があって楽しかったです。
幻想的な風情の「金魚」「蜃気楼」なんて曲も印象的だったけれど、殊に気に入ったのは、『叙情小曲集』の中の「セレナード」と、『小品集』の中の「舟歌」「ポリネシアン・ノクターン」の三曲。どれもゆったりとたゆたうような感じで、どこかなつかしい風景の中に連れて行かれる音楽たちですね。大林宣彦監督の映画『さびしんぼう』『時をかける少女』に通じる、なつかしい味わい。聴いていて、とても心地よかったですね。
ジャケット・カバーのイラストは、永田 萌。
録音は、1992年6月6、7日と7月25日。