まずは「祝!アニメ化」とお喜び申し上げねばならない。原作を忠実に再現し過ぎるとグロの方面で規制がかかってしまうかもしれないので程々に、そして登場人物の豊かな個性と仲の良さ、さらにはかつての
名作を彷彿とさせるようなヒトへの希求を上手に描いてほしいものと素人が勝手に思う次第である。あ、でも逆にグロシリアスな方向に振るのもアリか?ちなみに早くも脳内想定ではこのはが堀江由衣さんで喋り初めているがフィアは誰が適任かな?黒絵も難しいな。いんちょーは日笠陽子さんがいいかも、とキリが無いのでこの辺で。
本巻では新学期に突入しており、春亮達は2年生に進級、新入生が登場することとなり、第9巻に出てきたコンビ(+α)も後輩+用務員として準レギュラー入りしている。ますます賑々しく騒々しいグループが形成されており、これが面白可笑しくやり取りしながら万遍無く活躍もしている。このシリーズは根幹が切なく哀しい分、日常パートが実に楽しく描かれるのだが、この息の合い方というか仲の良さが今回も素晴らしい。ここまで読み進めてきた諸兄なら言わずもがなの阿吽の呼吸的会話の妙を本巻でも存分に楽しめる。
しかし、ストーリーについては区切りがついておらず、なかなかに油断のならない、そして不気味な凄みのある存在が最後に出てきて不安を煽っている。元より新学期=新章あるいは最終章の幕開けっぽい構成なので、今後の展開における要素に触れておきましたという感じである。この存在が求める最強の武器というのが何分にも気に掛かるところだが、次に訪れるであろう窮地に対して、よりヒトへの思い、恋する自分への執着を見せ始めた「手持ちの武器が段々少なくなる」フィアの対応が今後の見どころではなかろうか。
しかし、第6巻に出てきた娘コンビが出てくると決まって話が哀しくなる。そういう担当なのだから仕方ないのだが、人の心を踏みにじる行為を平然と行うところに人の負の業を滲ませてもいる。さらには今回の、一応の敵方にも実に品の無い下衆野郎が出てくるが、これもまた不幸の裏返しのような背景を持たせているところに作者の歪みながらも秀でたセンスを感じざるを得ない。好みは別にして人の哀しき性のようなものを垣間見せる手腕は相変わらず見事である。
今回は『希望』、しかも組織に迎合しない『自らの希望』を浮き彫りにしているのだが、あまりに切なく哀しい成就のさせ方(成就と言えるのかも定かでないが)に単なる悲劇ではなく、たとえ悲劇であっても何かしら満たされるものをこの中に得ようとする作者の思いが見て取れたと解釈したい。