とくにすばらしいのは、ブッシュ大統領のリーダーシップのスタイルに対するウッドワードの分析だ。ブッシュは、彼自身が直感を重視する「本能で動く人」だと表現するように、常に行動優先で、閣僚のメンバーにもはっきりとした成果を出すようにプレッシャーをかけ続けている。いわゆるブッシュ・ドクトリン ―― どこまでもテロリストを追いかけるだけでなく、彼らをかくまうグループや国家も対象とするというアメリカの政策 ―― は、ブッシュが自ら考えて公表し、ディック・チェイニー副大統領、コリン・パウエル国務長官、ドナルド・ラムズフェルド国防長官には事前に相談しなかったという事実はとても興味深い。
そのほかの重要人物についても、同じくらい詳しく描かれている。国家安全保障担当補佐官のコンドリーザ・ライスは、やわらかな物腰でミーティングでもややひかえめな人物として登場するが、その一方で、ブッシュは率直な助言をライスに求め、閣僚のメンバーに彼の考えを伝えるために彼女をおおいに頼りにしていることが、はっきりと書かれている。何かと緊張したものになるパウエルとラムズフェルド(と、そこまでではないにしろパウエルとチェイニー)の関係については、イラクへの対応や、同盟関係の強化か単独行動かといった点についての両者の相違が浮き彫りにされている。また、ウッドワードはCIA長官のジョージ・テネットがどのようにしてアフガニスタンの民兵グループを組織したかを描き、それがいかにして国防総省とCIAの協力体制という新しい時代の扉を開くことになったのかを解き明かしていく。
価値の高い、ときに啓発的でさえある本書は、ブッシュ大統領の足跡を豊富な情報で明らかにする初めての本である。(Shawn Carkonen, Amazon.com) --このテキストは、 ハードカバー 版に関連付けられています。
9・11からアフガニスタンへの武力行使、そしてイラク攻撃へ――。国際社会の反対をよそに、強硬路線を突き進むブッシュ政権。『ブッシュの戦争』は、アメリカの軍事作戦と、その裏面で繰り広げられるホワイトハウスでの熾烈な暗闘を赤裸々に描いた話題作です。
著者ウッドワードは、アメリカを代表するジャーナリスト。彼は執筆のために、大統領本人を含む100人以上にインタビューを行ないました。さらに、戦争計画会議の速記録(50回分以上)も入手し、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官ら、重要閣僚の生の発言を収録。いながらにしてオーバル・オフィス(大統領執務室)にいるかのような感覚を読む者に与えてくれます。
また、北朝鮮の金正日に対するブッシュの過激な発言も収録されています。
●注目情報
「金正日が大嫌いだ!」と、ブッシュは叫んだ。
――ブッシュ、金正日体制の早期打倒を示唆――
「わたしは金正日が大嫌いだ!」ブッシュは指を振りまわしながら叫んだ。「心の底から嫌悪を覚える。こいつは自国民を飢えさせている。政治犯収容所の情報もつかんでいる――(中略)やつは家族を引き裂き、おおぜいを拷問するために、収容所を使っている。わたしは愕然とした……」
「仮に金正日を倒そうとした場合――倒れるものならだが――国民の財政的負担は莫大なものになるから、性急に行動するべきではないという意見もある。だれが面倒を見るのか、というわけだ――そういう意見には賛成できない。自由を信じているなら(中略)、賛成できるはずがない」
(本文より抜粋)
●本書の主な登場人物
ジョージ・W・ブッシュ(第43代合衆国大統領)
父は第41代大統領。外交問題に疎く、初歩的な軍事の知識もないが、アメリカ軍の最高司令官として「テロとの戦い」を指揮する。
ディック・チェイニー(副大統領)
ラムズフェルドの右腕として頭角を表し、ブッシュ・シニア政権で国防長官。イラクへの単独攻撃を主張する強硬派。石油・エネルギー業界とのつながりが指摘されている。
コリン・パウエル(国務長官)
湾岸戦争時の統合参謀本部議長。夫人の反対で大統領選への出馬を断念。政権内では「パウエルは冷蔵庫に入れられている」と陰口を叩かれるほど孤立しながらも、単独攻撃に反対しつづける。
ドナルド・ラムズフェルド(国防長官)
共和党タカ派の重鎮で、ブッシュ父とは政敵の間柄。強烈なキャラクターの持ち主。今回が2度目の国防長官就任。「テロとの戦い」を通じてアメリカ軍を根底から改革しようと目論む。
ジョージ・テネット(CIA長官)
クリントン時代に長官就任。アルカイダの脅威を早くから見抜いていたが、ビン・ラディン暗殺などの強硬手段をとらなかったことを悔やむ。テロ後、世界中に米国のスパイ網を構築。
コンドリーザ・ライス(国家安全保障問題担当大統領補佐官)
元スタンフォード大学教授。伯父と伯母以外に血族がいない孤独な境遇だが、大統領夫妻とは家族同様の親密な関係。ブッシュ政権最大のキーパーソン。
リチャード・アーミテージ(国務副長官)
パウエルの古くからの親友で、ラムズフェルドとは犬猿の仲。ベトナム戦争に四度出征した巨漢。
ポール・ウォルフォウィッツ(国防副長官)
超タカ派で、湾岸戦争時の国防次官。フセインを敵視し、イラクへの即時単独攻撃を強く主張する。
●本書をとりあげた日本のメディア
TBS「報道特集」(2003年1月26日)/朝日新聞「天声人語」(2002年11月20日付)、連載「ブッシュのアメリカ 新帝国の実像」/毎日新聞・連載「どうなるイラク危機」/日本経済新聞・連載「二つの危機」/産経新聞/東京新聞/北海道新聞/聖教新聞/スポーツニッポン/NHKラジオ/フォーサイト(2003年2月号)/ニューズウィーク日本版・特集「テロ戦争の司令室」(2002年12月4日号)など
●本書に収録されたブッシュ大統領の発言
「その瞬間、われわれは戦争を行うことになるだろうと、心に決めた」
(9・11テロの第一報に接したときを回想して)
「わたしが大統領だったのを悔やむだろうよ。この報いはかならず受けさせる」
(9・11テロについて)
「武力の行使について、われわれはすべての方面に合意を求めるつもりはない」
(国連への協力について)
「わたしは教科書どおりにやる人間ではない。直感の人なんだ」
(自分について)
「いまアメリカは独自の立場にある。われわれは指導者だ。そして、リーダーは行動力を兼ねそなえていなければならない」
(アメリカについて)
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
登録情報
|
今のブッシュ政権といえば、京都議定書からの離脱に代表される一国主義(ユニラテラリズム)のイメージが強い。しかし、「大統領の陰謀」(文春文庫)でニクソン大統領を辞任に追い込み、「司令官たち」(文芸春秋)で湾岸戦争当時のブッシュ(父)政権をリポートしたウッドワード氏取材の本書は、政権内の議論や意見対立、大統領側近たちの思考や振る舞い方などが具体的に語られ、閣僚一人ひとりの個性が伝わってくる。
ビンラディン氏らが率いるテロ組織アルカイダの当時の拠点アフガニスタンに対する軍事攻撃は、同時多発テロ後一朝一夕に決まったわけではなく、ラムズフェルド国防長官らは作戦の具体案をなかなか大統領に提示できない現実に、結構、いらいらしている。こうした中、少数の準軍事部隊をアフガニスタンに投入して、北部同盟軍に金銭援助を行って武器を供給しながらタリバンを南北から攻撃するCIAの作戦案について、ブッシュ大統領が”Great job!”と叫んで承認する様子が活写されている。但し、この作戦はアフガニスタン南部では成功しなかったが、CIAが持っていたこの地域の地図が、数十年前の英国製のものだったという現実は驚きだ。
また、対イラク政策をめぐるチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官らのタカ派と、パウエル国務長官らのハト派との対立もよく描かれている。政権発足後、パウエル国務長官は大統領と個人的に話す時間を持っていなかったが、タカ派の強硬論に危機を感じ、ライス補佐官を通じて去年の八月初めに大統領とさしで二時間程話す機会を得た。これによって大統領との関係作りに成功し、対イラク政策で国際社会との協調路線を尊重するブッシュ大統領の国連総会演説を実現させた。ただ、ウッドワード氏の見方によると、ブッシュ大統領のイラク攻撃への決断は固く、この時の大統領の姿勢が、現実の国際社会との調整を図ったものだとみている点が、イラクに対する政権の今後の政策を見るうえで、とても示唆的である。次は、是非とも、対イラク政策のその後をリポートした「司令官たちII」を期待したい。
既に翻訳版「ブッシュの戦争」(日本経済新聞社)が出ているが、原書を読めば、“lily pad strategy”、“Clintonesque”、“AQ”、“K Street pundits”など、ワシントンの造語も楽しめる。(snowy)
μ°'- ̄"'o-è¨é21è£äoè¨ä£è¡¨§é '£...μ¨é-o-'±3é§a¬¨ä\äè¨è¿° ̄"" ̄''è¨" ¨
äoé¿''a ̄μ±'μ3"§-°'a"¬ ̄±3äμ'è§£ ̄èa"§1 ¨!
読んでいて、所詮アメリカ側の立場から書かれたものという感じで、歯がゆいことも色々ありましたが、強く感じたのは、何とか言っても、日本では現役のトップの立場の人について、このような大きなイベントがあった場合にここまで詳細に書こうとする人はいないだろうな。と。
|
|
|