「生産財や産業材メーカーにマーケティングを導入するきっかけを作ってもらう」という著者のねらい(同書あとがき)は十分に達成されている。その「きっかけを作りたい」と問題意識をもつBtoB企業担当者(マーケティング部門だけでなく、営業部門や本社管理部門の所属者もあり得る)が、上司や関連部門に働きかけるのに役立つ。BtoBマーケティングの主要な論点がカバーされ、読みやすい。
なお、目次の大見出しに記載された事例は、第4章の「三洋電機のウイルスウォッシャー」「パナソニック(電工)のナノイー」の成分ブランドだけのようだが、いずれも純粋な生産財の事例ではなく、消費財の成分ブランドの事例に分類するのが適切かもしれない。しかも、ともにパナソニックという企業ブランドの傘下に入ったため、成分ブランドの効果を特定して論じるには、やや難があるようにも思われる。しかし、これが本書全体の価値を減じるものではない。
BtoB企業の勤務者や、BtoBと取引する人に幅広く薦めたい。著者の前著「BtoBブランディング」(共著)と併せて読むことで、BtoB事業戦略立案のヒントをより幅広く得ることが可能となろう。