新生ゾンビーズの新作は遂に「オデッセイ&オラクル」の幻影を振切ったようである。1曲目はシングルで最終ビーチボーイズ風の「ブリーズアウト、ブリーズイン」で幕開け、コリンの初期ソロ風の2曲目「エニィ・アザーウェイ」へ繋がる。この展開から素晴らしい。また4曲目はアージェント75年の『サーカス幻想』から「微笑みのサンシャイン」=「シャイン・オン・サンシャイン」が収録。これも当時何故シングルカットしなかったか理解に苦しむ名曲だ。ここでの再録は嬉しい誤算だ。英ロック名詩集に収録された歌詞も素晴らしい。6曲目でシングルの「ア・モーメント・イン・タイム」は、ベン・フォ−ルズ風であるが捻りが加えられており、サウンドトラック的展開となる。7曲目はアージェント73年の『イン・ディ−プ』から「クリスマス・フォ−・ザ・フリー」。99年KISSが大ヒットさせた「ゴッド・ゲイブ・ロック・アンド・ロール・トゥ・ユウ」はあえて外しての採用だ。押付けがましさのない穏やかなメッセージソングであり、個人的にはレノンのクリスマスソングより好きだ。最後はプロコルハルム風の「レット・イット・ゴ−」で幕を閉じる。トータル40分弱で一度に聞けてしまう。遥か昔に絶滅したと思しきブリティシュ・ロックの現在進行形を聴くことができる。もう乱発される過去のリマスター版や、今や節操の無いバンドと成り果てた連中(誰かは言いたくないが、ストーンズもその一つ)に付合う必要はないのではないか?コリンとロッドの65歳はかなり高齢だが、まだまだ彼らの今後の新作に期待して良いのではないだろうか?また過去にロッド・アージェントを虜にし、ラス・バラードを脱退に追込んだプログレ病も全く見受けられなくなった。ボルヘス風に言わせて頂くが、ロッドがリック・ウェイクマンやキース・エマソンを目指さなかったこと、ゾンビーズをイエスやEL&Pのようなバンドにしようとしなかったことに感謝したいとの思いだ。