湾岸戦争に従軍したSAS隊員の手記を元に、BBCがTV映画として製作。この作品が稀有なのは、語り手の精神です。バランス感覚に優れた、冷静な眼差し。原作がベストセラーになったのも頷けます。自分の体験した全てを克明に語るのですが、余計なものが一切ないのです。ヒロイズムや国粋主義、感傷といった戦争映画につきものの要素が。代わりに徹底した客観性で、自分の弱い部分でも正直に語っていきます。本物の軍人とはこういうものなのかと、新鮮な驚きでした。鋼のようにタフですが、ショーン・ビーンは型どおりに演じていません。おかげで、とても魅力的。見かけは少年のように儚い感じもします。肩の力の抜けた楽しい人で、リーダーであっても、人を威圧しないタイプ。そういう雰囲気なので、31歳で女房が三人目なのも、コミカルなチャームポイントです。SASといえばエリート軍人なのに、仲間達は始終じゃれ合ったり、冗談をいったりして高校生の部活動のよう。映画で観る兵士のイメージとかなり違います。彼らは普段、一般市民として平凡に暮らしています。それが、戦場に駆り出されれば、平然と何十人も人を殺すのです。仕事だからという理由で。作り手側はこういう事柄について、メッセージを入れていません。ありのままを提示して判断を観客に委ねています。実際に戦争で、どんなことが行われているかを知る興味深い映画です。主人公の辿る道はすさまじく、観るだけでも大変ですが、物語としては、一級品です。