著者の少年時代を綴った自伝風の作品(或いは自伝的創作?)。
歓びよりも寧ろ、悲しみや恐れ・嫌悪感といったものに溢れている。父母とその親戚に対する複雑な思い、学校生活での教師や友達との関係などいずれも何か陰鬱なトーンのもとに記されている。
圧巻は、父親が弁護士として仕事を始めたのはいいが、顧客にカモにされて借金取りに追い立てられるところで、黒人の取りたて人に出したコーヒーカップを後で捨てるか洗うか母が逡巡する場面と弟の指を切断させてしまう所が、忘れがたい印象を残す。
人種問題が深く根をおろす南アの有り様が垣間見られ、Disgrace同様とても興味深い作品だ(H16.5.19)。