75年発表の6作目。マーク・ボラン自身が初めてプロデュースを手掛けた作品だが、彼らの作品としては最も人気のないものであり、グループとしては完全な低迷期に陥った時期にもあたる。前作までにあったトニー・ヴィスコンティのアレンジによる弦がバッサリと無くなり、それ自体は大幅な新生面とも言えるが、現在となってみれば“らしさ”が薄れてしまっただけの印象も受けないでもない。それでもハンド・クラップを効果的に使用した激ポップな1.など決してクオリティは落ちてはいないし、むしろシンプルなバンド・サウンドとグロリアのソウルフルなコーラスを活かすための一つの手法としては正しかったのかもしれないとも思う。次作ではまたド派手なごった煮サウンドを構築する彼らだが、そう考えるとこの作品も個性という意味において貴重かもしれない。シンプルな分だけ音が一歩前に出てくる印象も受ける。ビアノが印象的なジャズ/ブルース的な4.も新境地の一つだろう。土臭さも一気になくなりシティ・ポップス的な洗練された雰囲気もある。6.では強烈なインパクトを持ったメロトロンが登場し、従来通りのサウンドも聞かせている。11.は彼らの代表曲の一つであり、必殺の一曲。全体的に楽曲の質は全く落ちていないし、むしろ演奏は生き生きしていると思う。本作のピアノは本当に素晴しい。
本作からドラムスがビル・レジェンドからゲイリー・ラットンに変わっているが、ややタイトなドラムを聞かせており、ミックスの加減もあると思うが音も太くなったようだ。